SAMURAI写真展2018セミナー


エバレット・ブラウンさんによる
湿板光画セミナーを開催

held on March 4th, 2018 / 2018年3月4日 開催

2018年2月27~3月4日、横浜・みなとならい駅にある「サブウェイギャラリーM」で開催されたSAMURAI FOTO写真展4th “Making a beautiful bridge”において、写真家・エバレット・ブラウン氏によるセミナー「湿板光画で日本の雅『三渓園』を表現する』を開催しました。

古式ゆかしい日本を表現するための湿板光画


SAMURAIのディレクターであるエバレットさんはジャーナリストとして来日して以来、日本に25年間在住。日本文化研究者でもあり、かつての日本の静かな佇まいを表現するため10年前から湿板光画に取り組んでいる。


湿板光画は明治時代に用いられていた乾板写真よりも前に発明された写真術。現代の日本では感じられなくなった古式ゆかしい日本や日本らしい曖昧さを感じてもらうのにはふさわしい技法であるという。


ガラスにコロジウム溶剤を塗ってネガをつくる。そのネガが乾燥する前に現像しなくてはならないため、現場に持参したテントの暗室の中で現像する。すべてを自分の勘で行うため、かなり難しい作業だ。


エバレットさんが使用しているカメラはアメリカの職人に頼んで、幕末の頃のものを模してつくってもらったもの。レンズはポートレート用と風景用の2種類。ポートレート用レンズのボケぐあいが気に入っている。


できるだけ自然光で撮るようにしているため、室内だと露光時間が15分以上になることもある。ただし、露出計を使わないので、自分の勘だけが頼り。10年間撮影しているので慣れたが、失敗も多かったそうだ。


日本の公家の末裔たちを撮っているシリーズの1枚。ネガとして使っているのは、まったくきれいなものから汚れたものまでの4種類のガラスで、薬品も昔と同じものを使っている。


温度や湿度、風、雨など、湿板光画は自然にとても左右される。そのために失敗することもあるが、それを次にどう生かすかを考えるという。失敗を新しい表現に変え、雑念を消して集中するといい作品になる。


巫女さんの手元をモチーフにした作品。湿板光画はとくに白が難しい。直射も苦手なので木陰に立ってもらった。森は光を吸収し、海岸は光を反射する。このような環境のときも少し難しさがあるという。


空の白い部分が多いため薬品によってわざと汚いネガをつくった。書道に真行草(しん・ぎょう・そう)といって、正確に書く真書(楷書)と崩した草書、その中間の行書があるが、エバレットさんは被写体を真にするか、行にするか、草で表現するか考えるという。

失敗や偶然をも生かせるのが湿板光画の良さ


2011年の東日本大震災の1カ月後に撮影した作品。この撮影にはまる1日かかった。薬品をコントロールしてネガをつくったが、空に不純物があるように撮れた。これが放射能のように見えたのが気に入っている。


テント内で現像していると強風が吹き、雨も降ってきた。空の部分に雨粒が当たったので普通なら失敗と考えるが、昔の海洋民族が昼でも星が見えたことを思い出し、雨粒が星のように見えることで意味合いのあるものになったと逆にうれしくなったという。


今年は三渓園の創設者である原三渓氏の生誕150周年。京都よりも京都らしく奈良よりも奈良らしいと気に入っている三渓園の茶室などで桃井宮御流家元・藤原素朝氏が作った「花の室礼」シリーズを一年かけて撮影した。


横浜にある三渓園の室内で撮影した「花の室礼」シリーズの1枚。障子の向こう側に当たった自然光だけで撮影したため、露光時間は12分。大変な撮影だが、デジタルカメラではこの光や空気感は撮れない。


庭先で撮影された作品。太陽光で撮られたものだが、エバレットさんは月光で撮ったように表現することを狙った。そして、まさに月光の下のように撮れている。エバレットさんの湿板光画は錬金術のようだ。


古代の海洋民族のことを考えていたら、雨が星のように見えるのが撮れた。それが偶然なのか必然なのかわからない。ただ、大事なポイントは雨が作品に当たってしまったことをどう受け入れるかということだという。

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